21.01.31 23.03.24 更新

レコールバンタン グランパティシエ学科によるショコラブランド「RECIT CACAO(レシカカオ)」。ブランドロゴを手掛けた、デザイン本科 杉薗はるなさんにインタビュー【バンタンデザイン研究所】

東京校

RECIT CACAO(レシカカオ)は、店舗を持たないファントムショコラブランド 。恵比寿を拠点とし、定期的に販売を行います。

運営するのは、レコールバンタン グランパティシエ学科の選抜メンバーです。

また、メインのカカオは、フェアトレード、オーガニックチョコレートを使用しています。

 

そんな注目ブランド・RECIT CACAO(レシカカオ)のロゴをデザインしたのが、デザイン学部本科生の杉薗はるなさん。

デザイン学部有志学生が参加したデザインコンペティションで、数ある提案の中から見事採用されました。

どんな制作意図があったのか?インタビューしました。

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――――― そもそもですが、デザインコンペティションに挑戦した理由は?

ポートフォリオ(作品集)に入れる作品数を増やしたかったんです。もしも、選考で選ばれなくても使い道があるなと思ったので

参加しました。あとは、チョコレートが大好きなので、もしかしたらいけるかも?と淡い期待も抱いていました。

 

 

――――― 提案された案について教えてください。

全てIllustratorで制作していて、計3案考えました。1つ目は線が細くて、若い人にウケそうなデザインです。

レシがフランス語で「物語」「短編小説」という意味だと聞いたので、本を開いている様子をデザインに落とし込みました。

 

2案目は、フランスの雰囲気を全面に押し出した案です。フランスの伝統的な柄、『トワルドジュイ』をモチーフにしています。

フランスの小説を見たときに、挿絵が細かく装飾的なものが多かったので、その雰囲気を取り入れたいと思いました。

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3案目が、採用されたアイデアです。本の「束」を、カカオの木に似せてデフォルメし、そこからカカオ豆が実っているようにしました。

文字は、既存のフォントの角を取り、丸みをつけてなめらかさを出しています。遠くから見たときも面が多く、目立つようにしました。

また、「長く使いたい」という要望だったので、流行のデザインを取り入れすぎないようにしました。流行が過ぎたときも古さが出ないように……

その辺りのバランスも気を付けました。個人的にも推していた案なので採用されたときは嬉しかったですね。

 

 

――――― 2021年1月には、エキュート品川にレシカカオが初出展しました。催事には足を運ばれましたか?

実家に帰省していたので、残念ながら行けなかったんです。公式SNSを見て、自分のデザインが使われているのでとても不思議な感じがしましたね。

当初、聞いていたよりも色々なところにロゴを使ってくれていたので、驚きました。また、元々は商品の包装に使う「帯」と、ショップカードだけの予定でしたが、追加で店舗の腰巻き(ショーケース下の部分)やポスターへのデザイン展開も担当させて頂きました。

 

 

――――― 他スクールとのプロジェクトは初ですか?

初めてです。校舎も違う場所にあり、会ったこともないのでとても新鮮でした。印象的だったのは、レコールバンタンの学生さんもロゴ選びの際に

『ロゴを小さくしたときにどう見えるか』を気にしていたこと。自分が考えていたことと通じ合っていて、嬉しかったです。

 

 

 

――――― 他の学生のデザイン案を見た感想は?

めちゃくちゃオシャレで、分かりやすいものが多かったです。私自身は選ばれるとは思っていなくて。プレゼンテーションの日も、

『レコールバンタンの学生さんが試作品を作って持ってきてくれるから、お菓子をもらって帰ろう♪』くらいの気持ちでした(笑)

 

 

―――― プロジェクトに参加して得られた学びは?

どちらかというと、デザインというよりもプレゼンの仕方や指示の出し方など、「対ヒト」での学びが大きかったです。今回のデザインは自己完結ではなく、

レシカカオを運営する学生さんたちの意図をくみ取りながらなので、反省点がたくさん出てきました。

ふたつあって……まずは連絡方法です。

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デザイン科の学生から連絡して、→バンタンデザイン研究所のスタッフ→レコールバンタンのスタッフ→レコールバンタンの学生……と、

情報のやり取りが遅くなってしまいました。スタート時は、「こういうものが欲しい」とい希望を漠然と投げられている状態だったので、

レシカカオの皆さんに直接質問していけば良かったです。そうすれば、「こういうアイデアもあるけれど、どうですか?」と、ブラッシュアップしながら

進行できたかもしれません。

 

もうひとつは、受け身ではなく、もっとガツガツいってもよかったのかな?ということ。色はお任せと言われていたので、

結果的にはレコールバンタンさんが紺色に決定しています。紺といってもいろいろな色があるので、色についても、もっと意見を言っても

良かったのかもしれないと反省しています。ただ、制約がある中で進めることは、とても実践的で勉強になりました。

 

 

―――― 予想外のハプニングはありましたか?

データを印刷所さんに入稿しているのですが、こちらの「指示書」に反したことが進められていたときは、さすがに憤りました。

ショップカードの裏に、レコールバンタンの情報が掲載されていたのですが、ロゴとは書体が違っていたんです。「修正してください」

と伝えて、書体を統一したデータを送りました。自分がデザインしているから、なおさらそう思いますね。

あとは、予想外のアイテムにも使われていたので最初からどのような使われ方をするのかを、正確に把握しておきたかったな、と感じています。

 

 

―――― なるほど。他にも、気付きはありますか?

デザインを良くしようと思う気持ちも大事。でも、意見交流はもっと大事ですね!レシカカオの学生さんに対してもそうですし、

印刷所さんにも、こちらから積極的に動くことが大切だと分かりました。「こういう使われ方はしたくない」といった意見は

、一つひとつ相手に伝えなければ分かりません。コミュニケーション不足で、デザインのあがりが違ってきてしまう、ということも分かりました。

「私はデザイン考えるほうだから」といった一歩引いたスタンスでいると、何も伝わりません。自分からガツガツ向かっていくほうが、

より納得のいく仕上がりになると分かりました。

 

 

―――― ありがとうございます。最後に、将来の夢を教えてください。

グラフィックデザイナーになりたいです。できるなら会社に所属して、安定した生活を送りたいです(笑)。

その安定した生活のためには、ガツガツが必要なんだな、と分かりました。ゼミ担当の松山講師に「街中で、皆さんの作品に出合うことをのぞんでいる」

と言われたことが印象に残っています。なので、多くの人の目にとまるようなお仕事がしたいですね。そうしたら、とても誇れると思います。

デザインを考えて出来上がったときの達成感が好きなんです。考えている間は苦しいけれど、形になると嬉しいです。

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―――― 杉薗はるなさん、ありがとうございました!

@recitcacao_lv

https://mobile.twitter.com/recitcacao

レシカカオでは、下記のように次回販売を予定しています。

日時:2月6日(土)11:00〜18:00

場所:東京都渋谷区恵比寿南3-9-4

バレンタインデーチョコレートと一緒に、こだわりのデザインも、ぜひご堪能ください。

 

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