VANTAN CUTTING EDGE 2020を開催。15ブランドの頂点に輝くのは?「BRAND CONTEST」バックステージ&ショーレポート!【バンタンデザイン研究所】
バンタンデザイン研究所が主催する、在校生を対象とした複合型デビューコレクション「バンタンカッティングエッジ」。
国内デザインスクールの中でも、最大級となるイベントのショーを、2020年10月31日、WITH原宿ホールにて開催しました。
今回レポートするBRAND CONTESTは、事前プレゼンテーション審査を勝ち抜いた東京13ブランド、
大阪代表2ブランドがランウェイデビューを飾るショーとなります。それぞれのブランドを代表する3ルックを、ランウェイ形式で披露。
コンテストでは、コンセプトの立案から、ビジュアルイメージ制作、各アイテムのデザインへの落とし込みまでをトータルで審査します。
審査員には、ANREALAGEデザイナー 森永 邦彦様、
kotohayokozawaデザイナー 横澤 琴葉様、パタンナー/衣装デザイナー 中垣 良亮様をお迎えしました。
<BRAND CONTEST SHOW REPORT>
「riiiisa」落合 梨沙さん
テーマは『journey in my innocence』。「夢見るプリンセスが、お城で長い休みを満喫するような」コレクションを披露しました。
「WoDa HiBiKi」石川 響さん
石川さん「テーマは『恋愛の依存心』。
1体目のハートジャケットは、相手への盲目的な『好き』という気持ちをダイレクトに表現しています。
2体目は、貢ぎ癖があって相手に特大クマとかをプレゼントしてしまうような、いびつな精神状態をイメージしています。
背中には『I need you』というプリントを付けています。
3体目は、貢ぎ癖が止まらず貧乏になってボロボロになっている状態。
でも、相手への依存心が強く、見栄をはってファーを着ています!」と独自の視点を感じさせるコレクションに。
「Syrma」中島 竜也さん
中島さん「コンセプトは、『可愛い、格好いいは誰にでもあるもの』。
例えば、女性に対して格好いい!ということはあるけれど、男性に可愛いと伝えると『女々しい』というニュアンスになってしまう。
ネガティブな意味ではなく、性別にとらわれずに可愛い、格好いいをとらえてほしいと思いこのコンセプトに至りました。
中世的な男の子をミューズにしています。」
メンズモデルを起用しつつ、セーラー服をアレンジした女性的シルエットのルックを発表。
「RUHIG HEIDEKRAUT」酒井 和馬さん
酒井さん「静謐という意味の『tranquility』をテーマにしています。
シンプルなデザインの中に、ディテールの美しさ、シルエットの良さを感じさせる、雰囲気のある服に仕上げました。
ボウタイには『風鈴』のような風情を感じてもらえれば、と思っています。」
「fleur claire」清沢 七海さん
球体関節人形をテーマにしたこちらのブランドは、AFC 8th 2次審査トワルプレゼン審査にまで勝ち残った実力派ブランドのひとつ。
「過去に辛いことを経験した人も、fleur claireを着ることで前向きな気持ちになってほしい。
胸元のパーツは、球体人形のパーツです。ショーは直前まで自信がありませんでしたが、曲とルックの雰囲気が絶妙に合っていて、
最高のショーができました!」と清沢さん。
「YONLOKSAN」新國 あおいさん
コンセプトは「『PLUS WIT』ウィットに富んだ、少し楽しいものを」。
数学のグラフがデザインに落とし込まれているものや、シャツもオープンカラーでダブルにするなど、おじさんのような渋い雰囲気が特徴。
ベージュの「INTERSECTIONジャケット」は、ボタンを留められる位置を自由に変えられる仕様で、細部まで遊びを感じさせるデザインに。
「kaoism(e)」冨山 華緒さん
近所に出かける時もドレスアップして気持ちに華やかさを、というコンセプトで仕立てられた「ご近所ドレス」コレクション。
事務員がつける「腕抜き」から着想を得た「ポストに手紙を投函する時のドレス」。
ハーゲンダッツのパッケージから発想した「ハーゲンダッツを買いに行く時のトレンチコート」、
「スーパーに行く時のドレス」など、日常を彩るドレスを発表。
他にも、宮良じゅらさん「Mariage」、坂上真那美さん「i.d(a)enty」、渡邊美紅さん「OMOI」がコレクションを披露しました。
ショーを観賞した審査員からも、ポジティブなメッセージが寄せられました。
<ANREALAGEデザイナー 森永 邦彦様>
「新型コロナウィルスにより、日常が全く変わりました。
そんな中、ファッションで日常にファンタジーを描こうとしている作品は、特に印象に残りました。
在学中は、僕も積極的にファッションショーに作品を出していました。
今、規模は変わっていますけれど、やっていることはあの頃とそんなに変わっていないように思えます。
あの頃感じていた自分が好きなもの、作りたいもの、への気持ちを、ファッションを続ける中で、保ち続けることは、とても難しいものです。
学生たちのショーを見て、好きなものを信じて表現したいという想いが、洋服から感じられて嬉しかったです。
月並みですけれども、信じることはすごく大事。賞だけが正解ではありません。自分が信じるものを握りしめていくことが大事です。」
――― 森永様が、作品を評価する軸を教えて下さい。
「僕の中で、ファッションは、他と違うこと、だと思っています。
作るのも貫いていくのも難しいですが、他と違うこと、がファッションの中で輝く瞬間がある。なので、その原石を見つけられたブランドを評価しました。」
――― 学生たちへメッセージをお願いします。
「大変なタイミングだと思いますが、ファッションを志す気持ちが途絶えないことが一番大事です。
ファッションというものはずっと存在し続けるもの。
それを信じてその道で戦っていくことが、自分自身の未来に繋がっていくと思うので諦めずに頑張ってほしいです!」
<kotohayokozawaデザイナー 横澤 琴葉様>
――――印象に残っているブランドを教えて下さい!
「石川さんの『WoDa HiBiKi』。作品を見ていて、服が好きなんだなと感じました。坂上さんの『i.d(a)enty』も良かったです!」
―――― 審査では、どのような点を評価しますか。
「そのまま街に出られるか、どんなお客さまが購入されるかイメージできるかという点です。
デザイナーが、自分が作ったものを着て外に出られるかどうかはすごく大事なところ。リアルかどうかは、ポイントかなと思います。」
―――― 卒業後もブランドを続けていくためのアドバイスをお願いします。
「展示会やコレクションを、ルックや動画で作り続けること。その積み重ねと繰り返しでブランドは作られていきます。」
<パタンナー/衣装デザイナー 中垣 良亮様>
「2次審査から見させていただいています。
仮縫いの審査では、そこまで良くないと思っていた『WoDa HiBiKi』の完成したコレクションを見て衝撃を受けました。
大人の、凝り固まっている感性とは異なる才能でものづくりをしていると感じました。」
―――― 卒業後ブランドを続けたい学生へのメッセージをお願いします。
「市場を読むことと、一番は、自分のものづくりに自信を持つことが大事です。自分の感性を信じて突き進んでいってほしいです。」
AWARD CEREMONYでは、受賞者が発表されました。
<2位>
「YONLOKSAN」バンタンデザイン研究所 大阪校 2年制 ファッションデザイン本科
新國 あおいさん
「WoDa HiBiKi」バンタンデザイン研究所 高等部 ファッション科3年 石川響さん
<1位>
「kaoism(e)」バンタンデザイン研究所 東京校 3年制ファッションデザイン研究科
冨山 華緒さん
先日行われたAsia Fashion Collection 8th GRAND PRIX受賞ブランドに、高校生ブランドが加わるという結果に!
<2位受賞「YONLOKSAN」新國 あおいさんコメント>
―――― おめでとうございます。Asia Fashion Collection 8th からどのように3体を選びましたか?
「元々、VANTAN CUTTING EDGEをメインで考えていました。AFCにも出場するために、用意していた3体のルックから6体に増やした形です。」
―――― 入賞した感想をお願いします。
「もらえると思っていなくてビックリしています。無事に終えられて、安心感のほうが強いです。」
<2位受賞「WoDa HiBiKi」石川響さんコメント>
―――― ショーを終えた感想をお願いします!
「本当にあっという間。花火のように一瞬でした!」
―――― 「恋愛の依存心」というテーマは個人的な経験から発想していますか?
「コレクション丸々、そうでございます(笑)。」
―――― 今後の展望を教えて下さい。
「卒展に向けて、新たなコレクションを発表したいと思っています。
卒業後は違う環境に身を置いて、感性を刺激してクリエイションを爆発させていきたいです。未だまだ精進していきます!」
<1位受賞「kaoism(e)」冨山 華緒さんコメント>
―――― Asia Fashion Collection 8th からどのように3体を選びましたか?
「お気に入りで、ショーで映えそうなものを選びました。今は来年2月に参加予定のNYコレクションに向けて、新しいルックなども考えています。」
―――― 今回の感想をお願いします!
「落ち着いて発表できたので、自分の気持ちとしてはAFCにも増して楽しめたように思います。」
―――― 他のデザイナー作品を見て感じたことはありましたか?
「自分たちとは違うものを作る人たちが多く、とても刺激になりました」
プライズとして、プロカメラマン&プロモデルによるシューティング権を獲得した冨山さん。
勢いのある「kaoism(e)」をブランドとしてさらに確立していくための一助となりそうです。
こうしてBRAND CONTESTは、新生ブランドたちの有り余るエネルギーを残しつつクローズ。
VANTAN CUTTING EDGE 2020のステージが、世界を魅了するファッションブランドの出発点になることを願っています!