モーションデザインとは、写真や文字に動きや音を加え、人々の目を惹き付ける映像であり、
静止画よりも動画の方を注視する心理的効果を利用した作品です。モーションデザインとは、どのようにして作られるのでしょうか?
今回の記事では、モーションデザインがもたらすメリットや具体的な活用場面、作り方や必要なスキルなどを詳しく紹介します。
モーションデザインとは
モーションデザインとは、静止画に動きや音声を加えた映像による表現方法です。
具体的には、もともと動きのない写真や文字、イラストやロゴなどを加工し、アニメーションにしたものを指します。
モーショングラフィックスとも呼ばれ、「動くグラフィックス(静止画像)」という意味です。
見やすく、分かりやすいモーションデザインは、情報伝達に優れているため、訴求力の高いメッセージとして注目を集めている技術です。
モーションデザインのメリットとは
情報が伝えやすくなる
静止画のメッセージをアニメーションにするモーションデザインは、情報が伝わりやすくなることが最大のメリットです。
情報が写真や文字だけの場合、視聴者が読み取ろうとしなければ、内容が理解しにくいケースも少なくありません。
しかし、動きや音声を加えることで視覚的・聴覚的な情報量が増えるため、メッセージを伝達しやすくなります。
インパクトが強い
視聴者に強烈なインパクトを残すことも、モーションデザインのメリットです。
モーションデザインは、シンプルかつ短時間ながら躍動感ある映像に加工しているため、見る人に圧倒的な印象を与えることができます。
表現の幅が広がる
表現の幅が広い点も、モーションデザインのメリットに挙げられます。
アピールしたい部分を回転、点滅、伸縮させるなどの様々な表現方法があり、自由度が高い点も大きな魅力といえるでしょう。
低コスト
一般的な動画の場合、制作コストは30秒程度で約30万円〜50万円であることに比べ、
近年のモーションデザイン制作は、機材や技術の進化によって、外注しても20〜30万円程度の予算で収まることも多いでしょう。
また、市販の映像編集ソフト(有料版と無料版)もあるため、未経験者や独学でも、制作者の技術やセンスに沿ったモーションデザインを低予算で作ることができます。
モーションデザインの世界的流行10選
リキッドモーション
リキッドモーションとは、強調したい部分のアクセントに使用することで、視聴者にポップでコミカルな印象を与えるモーションデザインです。
途切れることのない自然な画面遷移や変化が可能なので、パワフルなグラフィックスが制作できます。
モーフィング
モーフィングとは、ひとつの画像から別の画像に変化するモーションデザインです。
画像と画像を合成させて中間状態を作り出すことで、違和感のないシームレスで滑らかな画像を表現できます。
グレイン
グレインを使えば、円や直線などの集合体である解析幾何学的なベクター画像に、クリエイティブな変化をもたらすことができます。
無機質なイメージの画像にあえてナチュラルなテクスチャを施し、滑らかで自然な質感、洗練された高品質なイメージ、ホームメイドな雰囲気を演出する画像表現です。
アニメーションロゴ
ロゴとは、会社や商品名などに使われる図案化・装飾化された文字を指します。
そのロゴに、モーションデザインの技術によって動作や効果音をつける画像表現がアニメーションロゴです。
静的な文字にアクションを加えることで、会社や商品ブランドの魅力がより伝わりやすくなります。
キネティックタイポグラフィ
キネティックタイポグラフィとは、静止画像の活版印刷術(タイポグラフィ)に、
動的(キネティック)な表現を加えたモーションデザインです。
具体的には、文字に伸縮・ゆがめ・ねじりといったアクションを取り入れ、斬新な視覚表現を作り出します。
Webサイトやモバイルアプリにキネティックタイポグラフィの技術を用いれば、インパクトのある画像制作が可能です。
グリッチ効果
グリッチ効果も、世界的に流行しているモーションデザインです。グリッチ(故障)とは、
ゲームや動画などがバグを起こした際に現れる画面の乱れを意味します。
ザザザッと画面上にノイズを入れることで、視聴者に近未来やレトロ感を印象付けることが可能です。
古いテレビ、通信回路の乱れ、ホラー映画の演出などに最適な画像表現として使われています。
色の数を限定する
モーションデザインには、あえて色彩の種類を抑え、グラフィックスの雰囲気を演出する画像表現があります。
色の数を限定することにより、視聴者に洗練されたイメージを与えるためです。
たとえば、ノスタルジックな情景やレトロなキャラクターを制作する際、
色の数を限定しているからこそ、味わい深い魅力的な画像が作れるようになります。
2Dと3Dの融合
平面の2Dと立体の3Dを融合させる画像表現も、世界的に流行しているモーションデザインです。
2Dと3Dを融合させることで、それぞれのメリットを際立たせ、
大規模なプレゼンテーションから、小規模な広告まで、フレキシブルな映像制作に応用することが可能です。
パステルカラー
パステルカラーとは、彩度が低く明度が高い淡い中間色のことです。
この色彩がモーションデザインと相性がよいため、グラフィックス制作の際、世界的に活用されています。
モーションデザインの動的な画像表現に、パステルカラーならではのエレガントな風合いを加えることで、他作品にはない独特な魅力を訴求できます。
細いラインを活用する
細い1本の線だけを使用し、画面上に、人物や動物、建造物などの輪郭を描いたり、方向を示したりする画像表現も流行しており、主に説明動画やプロモーションムービーなどに使われています。視聴者には、その場でイラストを描いているように見えるため、最後まで目が離せなくなる効果があります。
モーションデザインの活用場面
教材サービス
モーションデザインが活用される代表的なコンテンツが教材です。
視覚効果の高い直感的なグラフィックスは、教材サービスに適した映像となっていますオンライン授業が増えた近年では、特に重要な教材のひとつとなっています。
ブランドロゴ
企業や商品の名前を示すブランドロゴにも、モーションデザインが活用されています。
ブランドロゴは、企業や商品の存在をアピールする重要な看板となるため、グラフィックスのデザインや映像にこだわる場合も多いでしょう。
マイクロインタラクション
マイクロインタラクションとは、ユーザーがアプリやWebサービスを利用する際、アクションの反映を正確に伝える小さなアニメーションのことです。
代表的な活用事例としては「いいね!」を押すとハートの色が変わるなどが挙げられます。
プロジェクションマッピング
有名なモーションデザインの活用場面として、立体物に映像を投影するプロジェクションマッピングがあります。3Dのテクノロジーと融合したモーションデザインは、建造物のデザインや立地といった特徴を最大限に活かし、魅力的なメッセージを発信することが可能です。
入力フォーム
資料請求や会員登録など、ユーザーが情報を入力する際の入力フォームにも、モーションデザインが活用されています。
面倒に感じる入力作業の手間や時間に、楽しさや分かりやすさが演出できるサービスです。
PV(プロモーションビデオ)
アーティストやデザイナーなどのPVも、モーションデザインの代表的な活用場面です。
作品の内容に合わせ動的表現を施せば、アーティストの魅力やデザイナーの腕前が際立ち、視聴者の印象に残りやすくなります。
モーションデザインの作り方
ストーリーを設定
モーションデザインの制作では、ストーリー設定が重要な鍵を握っています。
伝えたいメッセージを明確にしなければ「何を訴えたいのか」分かりづらいため、視聴者の印象に残りません。
ストーリー設定のポイントは、商品やサービス内容がはっきりしていることです。
また、視覚情報として直感的に理解できるもの、記憶に残るものを意識する必要があります。
デザインや動作の確認
モーションデザインの魅力は、動的な映像表現にあります。そのため、動きを意識したデザインが重要です。
絵コンテのステップで、デザインや動作の決定・微調整をおこなえば、その後の作業がスムーズに進むでしょう。
加工や編集
ストーリー設定やデザイン・動作の確認が終われば、動画の加工に取りかかります。
動画編集ソフトで、動作手順、移動方法、速度・回転・方向など、
映像のポイントを細かくチェックしながら、入念に作業を進めていきましょう。
動画編集ソフトに設定されているアニメーションやエフェクトを活用し、イメージに最適な映像を作り上げてください。
動画の加工に問題がなければ、最終的な編集をおこないます。その際に、BGMや効果音、ナレーションなどを加えれば、モーションデザインの完成です。
モーションデザイン制作に必要なスキル
タイポグラフィやアニメーションへの理解
モーションデザインを作る場合、タイポグラフィへの理解が必要です。
タイポグラフィとは、活版印刷術のことであり、文字の書体やサイズ、配列など、視覚効果の総称を意味します。
文字に動的な効果を加えるモーションデザインでは、タイポグラフィの基礎的な知識が不可欠です。
もちろん、アニメーションの造詣もなければ、モーションデザイン制作に携わることが難しくなるでしょう。
グラフィックデザインスキル
グラフィックデザインの能力も、モーションデザイン制作に欠かせない要素となります。
モーションデザインは、静止画に動的な加工を施す映像表現です。
状況次第では、素材となる静止画を自分で描き出すこともあるため、デザインスキルが求められるケースも珍しくありません。
また、作品の製作段階では、基本的に絵コンテを描くことから、グラフィックデザインの能力を求められます。
3Dデザインスキル
近年のモーションデザインでは、3DCG(立体的コンピューターグラフィックス)を活用した作品も増加しています。
静止画や文字に、動的な加工を施す際、この3DCGの技術を取り入れることで、これまでにない高品質なアクションが表現できます。
その映像表現の制作に対応するべく、3Dデザインの知識や技術も今後の必須スキルとなるでしょう。
モーションデザインの勉強方法
独学
モーションデザインの知識や技術を学ぶ場合、独学で習得することも可能ですが、勉強内容が偏りがちになる、モチベーション維持が難しいなどのデメリットがあります。
学校に通う
専門学校に通う方法は、独学よりもモーションデザインに関する知識や技術を効率的に学べるうえ、
実践的なトレーニングを経験できる点が最大のメリットです。在学中からSNSなどで作品を投稿すれば、企業からのスカウトも夢ではありません。
本格的にモーションデザインを学びたいなら専門学校がおすすめ
静止画に動きや音声を加える映像表現がモーションデザインです。同じ静止画と比べた場合、動作のあるモーションデザインは、視聴者の目を引き付けるうえ、情報が伝わりやすいため、インパクトのある印象を残すことができます。
これは、企業や商品、サービスなどをアピールする際に最適な演出といえるでしょう。
モーションデザインの制作は、専門的な知識や技術、経験が必要です。
本格的にモーションデザインを学びたいならば、映像やデザインに特化した専門学校に通い、効率的なスキル習得を目指してください。
より専門的にモーションデザインを学びたい人はこのコースがおすすめ
モーションデザインを専門的に学びたい場合、バンタンデザイン研究所にある以下のコースがおすすめです。
自分が目指したい将来像を考慮し、最適なコースを選ぶようにしましょう。
・デザイン&イラスト実践【4年制】
https://www.vantan.com/faculty/design/de-26/index.php
・デザイン&イラスト総合【3年制】
https://www.vantan.com/faculty/design/de-25/index.php
・WSデザイン&イラスト専攻【2年制週3日】
https://www.vantan.com/faculty/design/de-20/index.php
・WSグラフィックデザインコース【1年制週3日】