自分の専門とは違う分野で、クリエイションする。「バンタン未来ラボ」密着レポート
名刺を作るメンバー、トートバッグを刷るメンバー、ヘッドピースを組み立てるメンバー。ここはバンタンデザイン研究所メンバーが学ぶ恵比寿4号館。でも、この日集まった顔ぶれの多くは、普段は別の校舎・別のスクールで学んでいます。その正体は、自分の専門とは異なる分野を学べる1dayイベント「バンタン未来ラボ」。8月7日に行われた1日に密着しました。
1.「old honey」デザイナー・原講師が教えるシルクスクリーン
最初に訪れたのは「シルクスクリーンプリント体験」。講師はファッションブランド「old honey」を立ち上げて14年目の卒業生デザイナー・原まり奈講師です。
シルクスクリーンは、メッシュ状の版にインクを通して布に柄を刷り込むプリント技法。「要は版画です」という原講師のひと言で、初めての技法がぐっと身近になりました。
シアーなシャツへのプリントなど、自身のブランドの実例も披露されました。
原講師は「失敗を恐れずに、自分ならではのデザインを作ってみましょう。せっかくの機会なので、オリジナリティを追求してください」と呼びかけます。
レクチャーを受けたら実践へ。
月や太陽、金魚など100パターンほどの型紙から好みのモチーフを選び、Tシャツやトートバッグの上にスクリーン(版)を置いて、スプーンで特殊なインクをのせていきます。
版がずれないよう、一人が両手でしっかりと押さえ、
もう一人がヘラで慎重にインクを伸ばしていきます。
版を持ち上げると、見事に刷り上がっています!
プリントした布は、ドライヤーで丁寧に乾燥。
柄、文字、色の組み合わせで世界にひとつだけのデザインが生まれます!
参加したバンタンゲームアカデミー高等部3年次・加藤蓮さんは「とても面白かったです。ファッションアイテムを作るのは初めてでしたが、講師や先輩方がマンツーマンで教えてくれるので安心しました」と振り返ります。
2.素材を分解し、再構築する。ヘアアーティストが教える「ヘッドピース制作」
ヘッドピース制作を担当するのは、ヘアアーティスト・高木政美講師です。
「ヘッドピースを制作するうえで大切にしているのは、素材をそのまま使うのではなく、分解し再構築してみること。例えば造花を使うときも、そのまま挿して終えるのではなく、花びらに分解したり切ったりしてみると、素材への理解も深まると思います」
高木講師が手にしているのは、デニムの端切れ。デニムの表と裏を使い分け、花びらのように配置することで、立体的な構造に。メンバーもリボン、造花、布を手に平面から立体物を作っていきます。
「普段はファッションデザインを学んでいますが、ヘッドピースを制作することは初めてです」と話すのは、バンタンデザイン研究所高等部3年次・伊藤佐頼子さん。素材を手に取り、挿しては外し、角度を変えながら自分だけの形を探します。その面白さを「平面から立体を生み出していくのは楽しいです。今回は、推しキャラのグッズを使ってみました。いつも洋服を作るときはパターンを引いてから設計図にそって制作しますが、今回は感覚的に作っていくので、この過程も新しいです」と話します。納得のいく造形になるまで、素材を足しては引いてを繰り返す。またときどき、全体を引いて見ていました。気づけば、サポート役の専門部の先輩たちも自分の作品づくりに没頭していました。
3.「とりあえず触ってみると、形になる」。名刺づくりで開くデザインの扉
こちらは「デジタルスキル」の講座。グラフィックデザイナー・勝田眞黄講師による名刺づくりが進んでいました。お手本は、イニシャルを組み合わせた名刺デザインです。
勝田講師は「世の中には、丸や四角の中に模様や文字を収めたデザインが数多く存在します。これらは視認性が高く、覚えやすいから。今日は、図形の中に文字を入れる方法で作ってみたいと思います」と解説。
Illustratorというソフトを使い、文字の色も角の形も自在に変えていきます。
とても集中して、作業を進めるメンバーたち。勝田講師も一人ひとりのデザインを見て丁寧にアドバイスしていきます。少人数のクラスには気軽に質問できる空気が流れています。
KADOKAWAアニメ・声優アカデミー高等部3年次・本村葵さんが参加したのは、専門部の先輩の「名刺を持っていたほうがいいよ!」というひと言がきっかけ。
「授業では『InDesign』でポートフォリオを作ったことがあり、似ている部分もありました。デザインアイデアはどうしよう?と迷いましたが、とりあえず文字を大きくしたり小さくしたりしてトライすると、自然と好みの形になっていきました。青をベースに、消しゴムツールで中の色を抜いて水の中の泡を表現しました」
同じ日の午前は、中目黒校舎で行われた「モデリング」授業にも参加。普段使用する「3ds Max」ではなく初めて「Maya」に挑戦しました。「最初は何が何だか分からなかったんですが(笑)、意外と理解できました。1日で、新しいソフトに2つも触ることができたので成長できた気持ちになります。名刺も思ったよりうまくできました!ちょうど就職活動中なので、名刺を活用していきたいです」と晴れやかな表情。
バンタンゲームアカデミー高等部3年次・齋藤輝さんも、デザインからプリントアウトまでをトータルで体験することができました!「楽しかったです。記念すべき最初の1枚を誰に渡そうか迷いますね」と照れ笑い。
イベントが終わるころ、メンバーの手元には刷りたてのトートバッグ&Tシャツ、名刺、ヘッドピースができあがりました。でも、おみやげはモノだけではありません。初めてのツールを使いこなせた達成感、そして自分の専門分野に生かせるヒントを持ち帰りました。
【PROFILE】
高木政美/ヘッドピース制作講師
サロンワークを経て、資生堂SABFAを修了後、ヘアアーティストABE氏に師事。ファッション雑誌や広告でヘアスタイリストとして活動。
原まり奈/「old honey」デザイナー
バンタンデザイン研究所在学中にNYコレクションでの発表や衣装制作の経験を経て、2016年よりコレクションを発表。現在はセレクトショップへの展開を中心に活動中。
勝田眞黄(かつた・まき)/グラフィックデザイナー
多摩美術大学染織科卒業後、リクルート入社。グラフィックデザインをメインに広告、販促物などに幅広く携わる。その後、デザイン事務所を経てデザイン・イラスト「M2」を設立し、同オフィス代表。広告やブランディング、販促物全般、デザインディレクションのほか、装丁などのエディトリアルデザインを行う。1996年より現在まで、世界文化遺産・宮島厳島神社の観月能イベントのアートディレクションを担当。
▼old honey公式Instagram
https://www.instagram.com/oldhoney.tokyo/