23.01.18 23.03.22 更新

RIMOWA JAPAN マーケティング コミュニケーションマネージャー 宍戸さとこ様講演会。「ラグジュアリーにおけるマーケティング戦略」とは?【バンタンデザイン研究所】

授業/特別講師/講演会
東京校
RIMOWA JAPAN 宍戸さとこ様講演会‼
 
バンタンデザイン研究所では、在学中から業界で活躍するプロフェッショナルから、業界構造やトレンドについてうかがうことができます。
今回は、12月中旬に行われたLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトングループ(以下、LVMHグループ)RIMOWA JAPAN マーケティング&コミュニケーションマネージャー 宍戸さとこ様講演会をレポート。
 
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ファッション学部に在籍するメンバー(在校生)以外も聴講できるということで、たくさんのメンバーが集結しました。
 
 
 
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ファシリテーターは、宍戸様の同級生でもある、バンタンデザイン研究所キャリアカレッジスタッフが務めます。
 
<INDEX>
1.RIMOWAについて
2.ブランドマーケティングとは
3.ブランドマーケティングの参考例 -AS SEEN BY- 
4.ファッションブランドには、どのような仕事がある?
5.学生のうちにすべきこと
 
 
宍戸さん「本日はよろしくお願い致します。私も、ファッションが好きでファッション業界に入りました。でも入社前は、ファッション業界にどのような仕事があるか分かりませんでした」と、宍戸さん。Donna Karan、FENDI、adidas、Y-3 、G-Star RAWなどを経て、現職に。
 
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<1. RIMOWAについて>
「RIMOWAは、124年前にドイツ・ケルンで創設されたスーツケースのブランドです。100年前は、限られた人しか旅ができず、スーツケースは洋服ダンスのような大きなサイズでした。リモワは時代を経て、形や素材も変化し、時代と共に進化を遂げています」
 
<2. ブランドマーケティングとはex.グローバルブランドキャンペーン 「Never Still」>
グローバルブランドキャンペーン「Never Still」では、歌手Rihanna(リアーナ)、NBAのスーパースターLeBron James(レブロン・ジェームズ)、
 
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グランドスラム優勝を20回経験したRoger Federer(ロジャー・フェデラー)、伝説的な作家、歌手、ビジュアルアーティストとして活動するPatti Smith(パティ・スミス)の4人をフィーチャー。あらゆるジャンルを超えて世界的に活躍するアイコンのそれぞれの思いと、目的のある新たな旅の時代に焦点を当てています。
 
「このように有名人をアンバサダーとして起用することで幅広い層にアプローチすることができます。これは、ブランドマーケティングの手法のひとつです。また、ブランドとの『コラボレーション』も非常に有効な宣伝になります。例えば、Supremeとのコラボレーションでは、新しい客層にブランドを知っていただくことができ、媒体やソーシャルメディアの露出も増えました」
 
 
 
――― アドバタイズメントとPRの違いとは何でしょうか。
「アドバタイズメントとは広告を指し、いわばお金を払って見ていただく手法。対して、PRは分かりやすく言うと、お金を使わず見ていただく手法です」
 
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他にも、Christian Dior、Aēsop、Bang & Olufsenなどファッションからビューティまでさまざまなブランドとのコラボレーションを行っています。
 
 
<ADVERTISEMENT> 
次に今年の9月に表参道駅、伊丹空港のビジョン、雑誌、SNSなどに広告を掲出した例を紹介。
 
――― 表参道駅を選ばれた理由は?
「表参道には多くのメゾンが集結していますし、リモワ表参道店があります。9月に実施しましたが、申し込みをしたのは3月。半年ほど前から計画する必要があります」
 
――― 数ある雑誌から、どのような基準で媒体を選びますか?
「例えばCREAさんは、ファッション、旅やカルチャーなど、リモワのお客さまと親和性が高いからです。WIREDさんに広告を掲出したのは、動画視聴率が高い実績があるからです。最後まで動画を見くださる読者さんが多く、つまりリモワに興味を持っていただいている方が多いのが理由です。」
 
 
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<3. ブランドマーケティングの参考例 -AS SEEN BY->
 
 
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2022年8月末に、表参道BA-TSU ART GALLERYにて行われた世界巡回展「AS SEEN BY」。
世界各国のアーティストが、リモワを象徴するアルミ製スーツケースをカスタマイズした作品を展示したイベント。前日に行われたレセプションには、メディア関係者、スタイリスト、モデル、インフルエンサーなどが集まり、華やかなシーンが紹介されました。
 
 
――― 招待されるインフルエンサーはどのように選ばれているのでしょうか?
「リモワのユーザーであること。そして、常に自分が信じる道を歩み、新しい感覚を持っていらっしゃる人が多いです。また、アスリートやBMXのレジェンドなど、アート、音楽、ファッションなど、幅広い業界で活躍されている方をご招待しています」
 
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――― どのような手順で、準備されたのでしょうか。
「企画自体は半年前から始め、イベントは3~4カ月前から準備を始めます。そして、会場と日程をおさえます。アーティストさんと作品ができるまで話し合い、作品が完成したら会場内のレイアウトや各作品のディスプレイを考えていきます。レセプションの方は、招待者リストの確認、ドリンクやDJの手配なども進めていきます。すべてが同時進行で進んでおり、スケジュールを細かく確認し調整していきます。このような目を引くような企画展は、メディアに掲載される確率も高くなります。翌日から一般公開し、多くのお客様にリモワの新しい一面をご覧いただくことができました。」
 
 
 
<4. ファッションブランドには、どのような仕事がある?>
ここで、ファッションブランドの仕事を分類した表を紹介。
 
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例えばファッションブランドには他にこのような部署があります。
 
セールス ―「百貨店、リテール(直営店)、VMD」
ロジスティックス&MD ―「ロジスティックス、MD、クライアントケア」
マーケティング ―「クリエイティブ、AD(広告)、PR」
E-COM&CRM―「EC、AD、CRM」
と、分類されています。
 
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「まず、セールスの『VMD』は、店頭でブランドの世界観を表現し、商品を魅力的にディスプレイする仕事です。ブランドごとに商品の陳列や見せ方にルールがあり、お店に置く什器(じゅうき)なども選び抜きます。『マーケティング』は、ブランド魅力的に見せて購買に繋げるプロモーションを行います。『ロジスティックス』は、商品管理と出荷。」
 
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「『MD』は分かりやすく言うと商品計画者です。どの商品をどれだけ作ってどれだけ販売していくかを考えます。国、地域、シーズンによって売れるものが違いますが、『MD』の采配によって売り上げが大きく左右されます。私が担当しているマーケティングは多くの人にブランドを魅力的に感じてももらい、見てもらうための広告ですが、『E-COM』の広告は、一度広告を見てくださった人に、再度商品を見てもらう戦略を練ります。最初はブランドの雰囲気を訴求し、次はより商品フォーカスにするといった導線を考えます。『CRM』は、顧客様に対しての特別なマーケティングを担当する、カスタマーリレイションシップマネジメントです。リモワをご愛用いただいている顧客様に対して特別なイベントを行うこともあります」と、一つひとつの仕事について解説。
 
 
<5. マーケティング&プレスを目指す人がやるべきこと>
後半では、メンバーからの質問に答えていただきました。
 
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――― 企画やマーケティングの仕事に就きたいです。在学中から、準備できることは?
「例えば、パッケージのデザイン、グラフィック、15秒のテレビCMも参考になります。洗剤を開発するメーカーさんは、時代のニーズからマーケティングに入るとうかがいました。ユーザーの興味や関心をアイテムに落とし込めているのか、魅力的に見えるか?そういう視点を持って、ビジネスや商品全般をご覧になってください」
 
――― 仕事でスランプに陥ったことはありますか。そして、どのように抜け出しますか?
「皆さん、きっとあると思います。私も一時期コンビニでファッション誌の前を通るのもイヤな時期がありました。少し離れてみると、好きだった理由を冷静に見られるときがあります。初心に返るなどして、見直してみてみるのもいいかと思います。」
 
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――― 私は社会人コースで学んでいます。現在、ファッション業界とはまったく違う業界で働いています。20代後半からでも、チャレンジできますか?
「何歳でもチャレンジは可能だと思っています。私がボストン大学にいた時、80歳の人が学んでいました。教授は『何歳になっても新しいことを学ぶことは素晴らしい。拍手で迎えましょう』と受け入れたことが今でも印象に残っています。技術というよりは、ブランドについてよく知っていることや情熱が大事だと思います」
 
――― 大切にしている信念はありますか。
「探求心と向上心を大事にしています。また、自分とは違う意見を言う人を、大事にすることです」
 
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――― もし無名のブランドのプレスをされるとしたら、打ち手はありますか?
「過去に、誰からも知られていないブランドを経験したことがあります。そのブランドでは、どのような経緯でブランドが生まれ、デザイナーが大切にしていることを、ものすごく話し合いました。今はSNSの力で世界に発信できるので、独自の世界観を表現し、コミュニケーションしてみてください」
 
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「最後になりましたが……好きこそものの上手なれという言葉が好きです。ある先生の言葉が印象的だったのでご紹介します。『個性というのは努力をした後に出てくるもの。一生懸命努力をした先に個性があります』。興味があることがあれば、諦めずにやってみてください。自分は何が得意で、何が好きなのかを考え、諦めずに突き進んでください。努力の先に、皆さんの持つ個性が出ることを応援しています」とメッセージ。
 
在学中から、業界を牽引するプロフェッショナルから、指導とアドバイスを受けられるのもバンタンデザイン研究所で学ぶメリットです。
 
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