21.06.27 23.03.25 更新

ミラノのファッション名門校Istituto Marangoniによる特別講義を開催!Miu Miuでデザイナーを務めたジュリア・ベドーニ講師に「ポートフォリオ」制作のフローを学ぶ

授業/特別講師/講演会
イベント
東京校

バンタンデザイン研究所東京校にて、ファッションの名門スクール・Istituto Marangoni(マランゴーニ)の授業が行われました。

オンライン授業ということで、大阪校在校生も参加するなど、注目度の高さがうかがえます。

英語が苦手な学生も、ご安心を。

通訳さんが入るので、リアルタイムで授業内容を理解することができます。

 

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<そもそも、Istituto Marangoni(マランゴーニ)とは>

1935 設立された名門ファッションスクール。86年にわたり、ファッション業界に強い影響を与えてきました。

卒業生には、ドルチェ&ガッバーナのドメニコ・ドルチェ氏、モスキーノのフランシスコ・モスキーノ氏などが名を連ねます。

キャンパスはミラノ、フィレンツェ、パリ、上海、インド・ムンバイなどファッションの主要都市にあり、

スクールを横断して学ぶ「クロススクール」も可能です。

 

今回は、ジュリア・ベドーニ講師をはじめ、マランゴーニ アジア統括マネージャー・レオナルドさん、

マランゴーニ卒業生・福田さんをゲストにお迎えしました。

 

<Giulia Bedoni (ジュリア・ベドーニ)さんのキャリアを紹介>

ジュリア講師は、Istituto Marangoni ミラノキャンパスにて、ファッションデザインコースを4年間受講。

卒業後、Prada S.P.A.のMiu Miuスタイルオフィスでデザイナーを務め、2017年からIstituto Marangoniフィレンツェキャンパスの

教育ディレクターに就任。2018年からプロジェクト開発責任者に任命され国際コンペや外部プロジェクトを担当しています。

 

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ジュリア講師「皆さん、お越しいただきありがとうございます。

今日はポートフォリオの制作を教えます。企業にポートフォリオを出すときや、自分でブランドを始めるときに役立ちます。

ファッション企業から依頼を受けて構築した内容で、実際にマランゴーニでも教えている情報です」と、ご挨拶。

「デジタルなのか、アナログでアウトプットするかによってもポートフォリオの見せ方は変わります。ひとつだけ注意してほしいのは、

横にするのか縦にするのか、一度決めたら変えないこと!途中で変えるとミステイクだと思われてしまいます」

 

<ポートフォリオの構成>

  • カバーページ
  • コンセプト、ムードボード、インスピレーション
  • コレクションボード
  • ラインアップ(CATWALK)
  • イラストレーション
  • テクニカルプロダクションチャート
  • ルックブック(ビジュアルを強化していく)

 

  • カバーページについて

ジュリア講師「カバーページは、明確でキャッチーでなければなりません。ここでは、氏名、シーズン、コレクションのコンセプトを書きます。

マスターピースになりえるような自身のコレクションをバンと押し出してください。たくさんの作品集の中で、パッと目を引くようなアイキャッチさ、

興味喚起を行うことがとても大切です」

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  • コンセプト

「コンセプトページでは何からインスパイアされたのか、端的に書きましょう。コンセプトがファッションの歴史なら、

なぜ今ファッションの歴史なのか。その源泉になるものを描きます。例えば『ファッションの歴史』というコンセプトでコレクションを組むなら、

なぜそのコンセプトに興味を持っているのかを説明してあげる必要があります」

 

ムードボード/インスピレーション

「ムードボードは、イメージコラージュに近いと思います。分かりやすさは大事です。写真や文字を入れてもいいです。

1ページである必要はありません。ムードボードは、コレクションのイメージを想起させます。ムードボードを見れば、

コレクションが想像できます。重要なのはムードボードとコレクションが一貫していることです」

 

カラーチャート

「カラーチャートにも一貫性があることが大事。背景は白がいいです。青でも、どの色なのか、紫はどんな紫なのか、

国際的に認知されているカラーコードで記してください。具体例を見てみましょう。カラーチャート、左と右では太さが違いますよね。

この人は、コレクションに占めるカラーの割合に応じてカラーチャートの太さを変えています。幅は均一でも、間違いではありません」

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生地

「生地のページは、実際にこれを使いますよと提示する場です。重要なのは清潔感です。

アナログなら、触れられるようにリアルな生地を添付してください。デジタルなら、イメージでもいいでしょう。

生地屋さんで売っている生地でない場合、オリジナルの場合も添付してほしい。実際に用意する必要があります。

プリントなのか、染めなのか。ひとつの生地をポンと貼るのではなく、ギャザーにするのであればその過程も見せるようにしてください。

トルソーにドレーピングをするなら、その過程も写真で押さえておきましょう。背景は、カラーチャートと同様、白にしてください」

 

  • コレクションボード

「上に生地を、下に洋服を着たマネキンを並べます。生地と、マッチしていますのが分かりますね?

また、このコレクションがどう始まってどう流れてどう終わるか、流れまで見えます。コレクションをすべてまとめたページも作りましょう。

何がメインカラーで、何がメインシェイプなのか、プロポーション、カラーで強弱を作らないといけません。

これがないと抑揚のないフラットなコレクションになってしまいます」

 

  • ラインナップ

「ベーシックなコレクションから始めて、マスターピースを最後に出すのか?ラインナップを考えて。

アドバイスとしては、たくさんのファッションショーを見ることをオススメします!商業的なピースからスペシャルなピースになるのか、

短くても記憶に残るように仕上げて。カラー別に、分けてもいいです。

ラインナップは、3体アウター、2~3体のジャケット、2~3体のシャツ/ブラウス、2~3体のニット、2~3体のズボン、2~3体のスカート、

1~2体のドレスが基準です。迷ったら参考にしてください。顧客やシーズンによって、体数を変えても構いません」

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  • イラストレーション

「すべてのルックをイラストでおさめます。一つひとつのルックの詳細をのせてもいいですし、レイアウトはパーソナライズして大丈夫です」

 

  • テクニカルプロダクションチャート

「パターン、生地、裏地などの詳細を記載していきます。服だけでなくアクセサリーも同様に、素材やカラーを見せて。

また、参照を明らかにしましょう。どのサイトから記事を引用したのか、参考にした写真のフォトグラファーは誰なのかを明記します。

最後は⑦ルックブックです。

 

コレクションをモデルに着せて撮影します。雑誌の誌面のように、イメージとして伝えます」と、細かくレクチャーしました。

 

 

<2013年卒業生・福田たけしさんインタビュー>

続いて、2013年卒業生・福田たけしさんにインタビュー。

マランゴーニ ファッションデザイン・メンズウェアを卒業後、Ermenegildo Zegnaにてインターシップの後、Salvatore Ferragamo、Brioni、

を経てThom Browneへ。

 

「Thom Browneのマーチャンダイジングマネージャーをしております、福田です。

お仕事としては、予算を決め、本社ミラノとパリのショールームからメンズ、ウィメンズ、キッズを仕入れ、日本にどうやって売っていくかという

戦略を考えています。国内11店舗、アウトレット店舗もあるので、フルプライスからアウトレットまでどのように商品を消化していくかを

ディレクションしています。」

 

ここからは、マランゴーニでの学生生活についてうかがいます。

―――― 特徴的な授業は?

「ハイブランドとのコラボーレション授業。プレゼンテーションを行う授業も多く、コレクションを作る機会もありました。

表現力が身に着くので、ヨーロッパのハイブランドにも就職しやすいと思います」

 

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―――― マランゴーニの講師はいかがでしたか?

「PRADAやMiuMiuで活躍している先生が多かったです。卒業後もプロとして働くので、刺激をもらいましたね。

世界107か国から生徒が来ていて、それぞれに合わせた指導をしてくれます。僕が学んでいたとき、日本人の学生は少なかったです」

 

―――― ミラノのキャンパスに通われていたのですよね。1日のスケジュールは?

「朝9時頃から始まり、昼は1時間半くらい休憩して、15時に終わったと思います。課題が多いので家に帰って課題に取り組んでいました」

 

―――― 留学して良かったことは?

「自信が持てました。常に自分に自信を持ち色々な決断をすることは、力になったと思います。宗教、文化など考え方の違いを感じながら、

新しい発想や思考を得られたと思います」

 

―――― 同級生は?

「新しいブランドを設立したり、韓国出身の友人はミラノのOff-Whiteデザイナーとして働いていたり活躍しています」

―――― 留学前の準備は何をしましたか。

「いちばんは、将来設計です。マランゴーニを選んだ最大の理由はゼニアとコラボーレションがある点。私は大卒で就職していましたが、

ゼニアに就職できる可能性に魅力を感じました。勉強した後にどのような進路に進むのか決めておくといいです。

お金の準備もそうですし、IllustratorやPhotoshopは使えるようにしておきました」と明かしました。

 

 

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<マランゴーニで学ぶメリットは?>

また、マランゴーニ アジア統括ディレクターレオナルドさんから、「THE MARANGONINESS(マランゴーニらしさ)」についての紹介も

 

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  • イタリアンネス

パリでも上海でも、イタリアの「ファッションエッセンス」を学ぶことができます。

  • ファッション主要都市にキャンパスがある
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  • 講師の80%以上がファッション業界からきているのが特徴です。

「在校中から、ファッション業界に身を置けるので、卒業後の働くイメージが持ちやすいと思います。

ラグジュアリーブランドとのコネクションも強いです。THE WORLD IS YOUR PLAYGROUND!

ミラノやロンドンなどファッションの主要都市学ぶことができ、インターナショルなファッションプロフェッショナルになることができます。

また、④ファッション業界とのコネクションも強いです。卒業生の94%が就職していて、うち80%はラグジュアリーブランドに就職しているのも

マランゴーニの特徴です」と締めくくりました。

 

質疑応答では、「イタリア留学にとても興味があります。イタリアという国で学ぶメリットは?」という質問も。

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「イタリアには、ファッションと、ユニークなライフスタイルがあります。授業の他にも、仲間と充実した時間を過ごせます。

フローレンスやベニスにも電車で行けますよ」とジュリア講師。

大阪校在校生も参加し、濃密な「THE MARANGONINESS(マランゴーニらしさ)」を体験することができました。

 

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バンタンデザイン研究所東京校・大阪校での学びを活かし、世界有数のファッションスクールで学ぶ可能性も、

リアルに感じられたのではないでしょうか?

ポートフォリオの構成というテクニカルな部分だけでなく、進路を見つめ直す良い機会になりましたね。

 

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