バンタンデザイン研究所では在学中からアーティストデビューを目指し、卒業と共に国内外でヘアメイクアップアーティストとして活躍する人材を育成しています。
今回は、卒業生で、ロンドンをベースに活躍するメイクアップアーティスト朝長 夏さんのインタビューをお届けします!
――― なぜバンタンデザイン研究所を選ばれたのですか。
入学前は、愛知県で就職をしていました。周りが大学に通っているときに、俺だけ働きたくないなと思って。親父が美容師をしているので相談したところ、「特殊メイクを学ぶのがいい。東京か大阪にしろ」と言われて。なんで特殊メイクなのかはいまだに謎なんですが(笑)、インターネットで「東京 特殊メイク」で調べて、バンタンデザイン研究所に決めました。上京して、シェアハウスに住んでいました。
――― バンタンデザイン研究所に入学して、良かったことは?
良かったことしかないです。メイクアップアーティスト・NATSUKA講師にも会えたし、やりたいことを見つけられました。
――― 在学中に印象的だった授業やイベントはありますか。
いくつかあります!まず、1年次の修了展で入賞し、嬉しくて頑張ろうと思えました。また、「CUTTING EDGE」、「卒業制作展」が記憶に残っています。『CUTTING EDGE』は、僕らのときからペアで出品できるようになりました。ペアの子と、朝まで寝ずに作品を作りこんだ記憶があります。ステンドガラスのヘッドピースを制作しました。
「卒展」は、FRP(プラスチック素材)やレジンを使い、曲線的なヘッドピースを制作しました。クラスメイトに協力してもらいながら完成させました。
――― アルバイトはしていましたか?
焼き鳥屋さんでバイトをしていましたね。
――― 特殊メイクの授業は?
松本講師にガッツリ基礎を学びました。2年制だったので、基礎科(1年次)は、メイクはNATSUKA講師、ヘアはATSUSHI講師に基礎を教えていただきました。
基本的に、NATSUKA講師の授業は厳しかったです。礼儀作法もそうですし、メイクがダサかったり、のせるべきところに色をのせられていないと怒られました(笑)
【メイクアップアーティスト・NATSUKA講師よりメッセージ】
「朝長が在籍したクラスは、みんなモチベーションが高く、できないことがあると泣くくらいに真剣でした。授業では、ヘアメイクの企画書『コンセプトシート』を書かせていましたが、基本的に一発OKは出さなかったんです。ヘアメイクの考え方を徹底的に教えました。情熱的なメンバーが多かったと思います!」
――― バンタンデザイン研究所で良かった!と思うことは何でしょうか?
同期が頑張っているので刺激をもらえます。勝ち負けではないですけど、やはり「負けたくない」という想いがあります。
一言でヘアメイクアーティストでも、海外を拠点にファッション分野で活躍している人もいれば、日本でテレビ関係のお仕事で頑張っている人もいます。
――― 卒業後は?
メイクアップアーティスト・EBARAさんのアシスタントに就いて2年半、アシスタントを卒業して1年ほどフリーランスで仕事をしてから、ロンドンに25歳で行きました。
――― 現地に知り合いは?
友だちが一人いて、兄弟子(アシスタント時代の先輩)が、ロンドンに住んでいました。兄弟子が家を紹介してくれて、2年ほど住んでいます。
――― なぜロンドンに行こうと思ったのですか?
イギリス英語が好きですし、イギリスのパンク、ロックなどのカルチャーも好きでした。あとは、ヨーロッパのファッションをしっかりと学びたかったからです。
――― 「イメージと違う」と思ったことは?
イーストロンドンにいましたが、思ったほど治安が良くなく、最初は不安もありました。徐々に慣れてきてからは、SNSのDMで、メイクアップアーティストや現地のヘアメイク事務所に積極的にコンタクトを取るようにしました。
――― 現地での最初のお仕事は?
兄弟子がコスメブランドで働いていて。渡英して1カ月も経たないうちに、撮影にアシスタントに呼んでくれました。英語は全然喋れなかったんですが、メイクでアシスタントに就かせていただきました。クリエイターはとても優しくて、わかりやすいように指示を伝えてくれました フィーリングとジェスチャーです!お給料もいただけて「ラッキー!」って思いました。そこのヘアアーティストさんが日本人で、そこで、「今度、ヘアメイクのLOOKBOOKがあるよ」と次の仕事を任せてもらったんです。お金は出ないけれどクレジットに載せてもらえて、その人が、また別の人を紹介してくれるようになりました。
――― お仕事はどうやって獲得するのですか?
InstagramのアカウントASSISTING WORK (@assisting_work)を使っています。
ストーリーに、アーティストの職種、ロンドン、パリ、コペンハーゲンとかの募集がガンガンあがるんです。いまアシスタントを探しているアーティストに連絡できるので、仕事につながります。いろいろなワークがあるし、レアな案件とかもあるので便利です。
――― 「アシスタント」に行く基準は?
直感的に、やりたいかやりたくないかです。
――― いまはロンドンで活動して、何年目ですか?
2年目です。英語も少しずつわかるようになってきました。
――― 日本の撮影現場と、ロンドンの撮影現場は違いますか?
ロンドンは、カジュアルで、フォトグラファーとか、スタイリストの人もみんな優しいです。日本の現場だと、アシスタントには雑用や荷物持ちなど“黒子”の印象が強いですが、ロンドンでは、アシスタントも「役割」が求められる印象です。
――― 今後の目標は?
事務所に入ること。まずは、「ポートフォリオ」(作品集)を充実させます。日本だと評価されるメイクは、ロンドンだとあまり受け入れられません。なので、現地のクリエイターに何を求められているか?ニーズを考えながらポートフォリオを作っていきます。
【朝長さん過去作品】
――― バンタンデザイン研究所で学んだことが、「キャリアにいかされている」と感じることはありますか。
ありますよ。特殊メイクをやっていて良かったなと思います。例えば、「雪」を表現してくださいと言われたら雪そのものも作ることもできます。何か造形を作るときに“これとこれを組み合わせたらこんなものが作れる”という引き出しがあります。傷、皮膚、おでこに目を作る、眉毛を消すといった技術を、「ファッション」に落とし込むこともできます。
――― 在校生、ヘアメイクを学ぶ後輩たちにメッセージをお願いします。
当たり前だけれど、授業はしっかり出た方がいいです。単純に、もったいないです。卒業したら講師から話を聞けないですから。
もうひとつは、仲間はしっかり作って。バンタンデザイン研究所には、個性豊かな人がたくさん学んでいるから。自分は、卒業してから「ファッションデザイン科と仲良くなっておけば良かった!」と気付きました。バンタンデザイン研究所での繋がりはとても大切です。在学中も卒業後も「作品撮り」をいっぱいしてください!
【PROFILE】
@natsutomonaga
https://natsutomonaga7072.com/