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- [全日制]アフリカを撮り続ける写真家。ヨシダナギさん ...
2016.11.04東京
イベント
この日、バンタンデザイン研究所で素敵な方をお招きしてトークイベントが開催されました!
皆さん、この素敵な写真を一度は見たことがありますよね?
今回のゲストはテレビ番組『クレイジージャーニー』にも出演され話題になったあの方です……
「ヨシダナギです。写真撮ってます」
フォトグラファのヨシダナギさん。
アフリカの少数民族に魅了され、16カ国200民族を撮影し続けています。
そもそもの始まりは、5歳のときにテレビで見た、自然な髪型や姿が印象的なマサイ族。
ヨシダさん 「5歳のときに、アフリカ人に出会っていなかったらまだ引き込もっていると思います。なので、アフリカ人には感謝しています」
ヨシダさん 「職業だと思ってたんです。戦隊シリーズみたいに飛び跳ねるお仕事だと思って、あれになろう!と。でも、日本人なのでなれないという現実を突きつけられ、とてもショックでした。中学生のころは、ずっと引きこもっていたんですが、独学で写真を勉強したり、イラストレーターになろうと頑張ったりしていたら、少しずつ明るくなってきて。今ならアフリカに行ける!と思い立ち、2009年にエチオピアへ。できるだけ多くの少数民族と会いたくて、英語もまったく喋れませんでしたが、一人で行きました」
—実際に行かれてみてどうでしたか?
「アフリカ人はみんなニコニコしていて、太陽のように陽気な人たちでした。その時、一眼レフのカメラを持っていて、アフリカ人がカッコいいことを周りの人に伝えたくてシャッターを切りました。実は、今も昔も写真家になりたいと思ったことは一度もありません。」
—最初に撮ったアフリカ人は?
「コーヒーショップの傍らにいたはアムハラ族の子。キラキラした目で、恐れずに近寄ってきてくれました」
—TV番組『クレイジージャーニー』の反響はいかがでしたか?
「クレイジージャーニーに出てから、写真家と自覚せざるをえなくなりました。作品を残さなきゃいけないというミッションができて、こうやって人は大人になっていくのかと勉強しています。結果的にアフリカ人から職業をもらったようなもの。私はアフリカ人がいなかったらフォトグラファとしてここで喋ってないですし、ただのアフリカ人好きの女なんです。なので、ありがたいなと感謝しています」
—いちばん記憶に残っている作品は、2009年の『COSMIC AFRO』ということですが……
「アファル族はもともとアフロヘアなんですが、それは日本でちょんまげの人を捜すくらい難しいこと。ガイドさんの情報を頼りに、会うことができました。でも彼らは外部との接触が一切ないので、まず、カメラを説明してあなたたちのかっこ良さを伝えたいというと『いいよ』と。みんな10代で、最年少は14歳くらい。場所は、彼らの聖地でもあるダロル火山で撮りました」
ヨシダさん 「撮影できるのは、朝日がのぼる1時間と日暮れの1時間前しかありません。アフリカ人の肌の色を忠実に出すためです。日差しが強すぎると肌が赤茶けたり、赤紫になったりしてしまうので。撮影するときに考えるのは構図だけ。彼らが勇ましく見える構図にはこだわっています」
2014年には、ポートレイトから構図を考えて撮るというスタイルにも挑戦。
—価値観が変わったのでしょうか?
「アフリカに興味がない人からすると、それまでの写真はただのアフリカ人の写真。慈善団体のポスター写真みたいで、彼らのカッコよさが伝わらないなと思って。どうしたらクリックして情報を読み取ってもらえるのか考えていました。そこで、作品撮りをしてみたらいいのではないかと思ったんです。また、レタッチも工夫するようになりました。壮大な景色とカラフルな色が、一人でも多くの人の目に止まればいいなと考えました」
続いては、鮮やかな黄色が印象的なヒンバ族の作品、苦労したという『天空の花嫁』が紹介されました。
ヨシダさん 「『天空の花嫁』は、撮影自体が大変というよりは、スリ族が住んでいる環境が過酷でした。介せんという病気にかかり、5日目で動けなくなり熱が出ました。そもそも、撮影時間がありません。でもスリ族は毎日、衣装やメイクが替わる。その非現実さと感情表現が面白いので惹かれます。私にとっては妖精がうじゃうじゃいる感覚なんです」
—期間と予算は?
「プライベートでは長くて3ヶ月。最短でも2ヶ月は行きます。仕事だと予算の関係がありマックス2週間弱かな。エチオピアには仲の良いガイドさんがいるので、航空券を抜いて1ヶ月4〜50万円で生活できます」
—アイデアの起源は?
「戦隊シリーズと、ももクロのCDジャケットです。構図や配置をよく見ています」
—ヨシダさんが思うアフリカ人の魅力とは?
「いちばんの魅力は彼らのフォルム。それに、立ち姿、仕草、すべてがとにかくカッコいいです」
—すべての活動を通して目指しているものは?
「目指しているものとか、本当にないんです。強いて言えば、アフリカ人はみんなが思っているほど怖くないということを、近所のおばちゃんくらいの感覚で伝えたい。私に会ったことがない人が、私のことを嫌いと言ったらなんか嫌じゃないですか。見てもないものを否定しちゃいけないよと」
—独学で、どうやって自分らしさにつなげていくのか
「メールでもよく聞かれるんですが……自分が人よりも長けているところを探して極めていくことでしょうか。自分のちょっと得意なことにフォーカスしたほうがいいんじゃないかな。私は、21歳から23歳くらいまでイラストレーターとして海外の仕事をしていて。その時に、君の色彩感覚は日本人の感覚じゃないと言われたことがあります。写真を撮り始めても、絵を描く感じでペイントしています」
最後は、じゃんけん大会!!!
勝ち抜いたラッキーな方には、サイン入り写真集『SURI COLLECTION』がプレゼントされました。
おめでとうございます!
講演後にバンタン生に感想を聞いてみると……
フォトグラフィ学部 ンジハさん 「私自身もハーフなので、日本人でも、アフリカ人をそんな風に考えている人がいるんだなと勉強になりました」
バンタン高等部3年 リナさん 「彼女の独特の視点が面白かったです」
ヨシダナギさん、貴重なお時間を本当にありがとうございました!
<プロフィール>
ヨシダナギ
1986年生まれ。独学で写真を学び、2009年より単身アフリカへ。
≫Instagram https://www.instagram.com/nagiyoshida/
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